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「朱日記」について

<あらすじ>
 小学校の教師、雑所先生は真面目で几帳面な青年である。ある日、山に出かけたところ、城下を襲う火事の前ぶれのようなものに遭遇する。
そして生徒である美少年の宮浜浪吉も、きれいな姐さんから「今日は大火事があって危ないから早仕舞いにしてお帰りなさい」と言われ、赤いグミの実をもらったという。雑所先生は近代的な人間であり、自分の何となくの勘だけで生徒たちを避難させることをためらっている。しかし予感は的中する・・・
<上演にあたって>
 「ハムレット」「星の王子さま」に続く Artist Japan NEXT 第3弾は、日本の文学、泉鏡花の作品をとり上げて上演させて頂きます。
 泉鏡花の作品は、美しい日本語がちりばめられ、難しい文章でつづられています。若い俳優二人が、そのセリフの持つ美しいリズムをお聞きいただけるよう、そしてまた鏡花独特の幻想世界をエンタテイメントにご覧いただけるよう切磋琢磨いたします。
 原作では雑所先生は年配になっていますが、今回、美しい青年教師に変え、生徒である宮浜少年と同じ意味合いの、夢か現かわからない予兆を見た、という事でお互いわかり合え、ひかれ合う感情が混在しているといった方向で、演劇的な作りにいたしました。真面目で悩める美青年教師に山本一慶が、純真な少年には水石亜飛夢が挑みます。
 雑所先生は山中で、偶然異界を垣間見て災害を予知し、少年は自分の亡き母のお友だちと名乗る黒髪のおねえさんから間近に迫る災害を教えられます。予兆は赤づくしですー少年が女からもらう赤いグミの実、先生が見た異界の魔人の赤合羽、赤い猿たち、気がつくと朱で綴っていた先生の日記・・・それらは紅蓮の炎へと導いていきます。100年程前に書かれた本作ですが、雑所先生が大災害への予感で生徒たちの命を守りたいと思いながら、ありもしない幻想で皆をパニック状態にさせるのをためらう落ち着かない感じは、現代を生きる私たちが持つ不安と重なります。本当に災害は、いつも人智のおよばぬところでおこります。
100年前に美しい文章で鏡花がつづった、あやかしの色彩が乱舞する幻想世界の香りと、そこに隠されたメッセージをお届けしたいと思っております。

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